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風 山 堂

(foussin's diary)

自分が一番影響を受けた作家…それは、小林信彦


  真夜中。一隻のフェリーが出港した。
  そのデッキには、純白のスーツを着た場違いな男が立っている。
  目を細め、タバコの煙をくゆらせている…


 渋い。渋すぎる。でも、ちょっとイタイ。戦中・戦後派の年配者なら『小林旭』『宍戸錠』辺りを連想するんだろうな。で、期待しつつページをめくると


 その船はブクブクと沈み始めた。


…たしか、『ドジリーヌ姫の優雅な冒険 文藝春秋(1978年)のち文庫』の冒頭は、だいたいこんな感じの出だしだったハズ。うろ覚えの記憶を頼りに書いたので、正確な記述・引用ではありません。

 当時学生だった自分は、帰宅途中に書店でこの文庫を買い、バスの中で当然のごとく読み始めた。で、ページをめくった瞬間に吹いた。周りの乗客の視線を感じつつ、笑いをこらえるのに必死だったことを今も鮮明に覚えている。以来、電車・バスの中では、小林信彦は絶対に読まないと決めた。

 ちなみに、この『ドジリーヌ姫…』は、ハードボイルドなグルメ小説…という変なカテゴリの作品となっている。もちろん、不条理ギャグ満載で…

40~50代中高年者なら、小林信彦を知らないハズがないだろう

 自分が文章を書くようになって、一番影響を受けた作家、それは小林信彦だろうな。自分が初めて小林信彦を読んだのは中学生の時。当時、教室の学級文庫に置いてあった『オヨヨ大統領シリーズ』を読んだのがキッカケだった。

 最初は『児童文学』の様相だったが、『オヨヨ大統領の悪夢』辺りでは、ほぼ大人向きの読み物になってきている。読者の成長に合わせて文体を変化させている…そういう印象を持った。オヨヨ大統領シリーズと歩調を合わせるように、自分も成長してきた。最後に読んだ氏の作品は、たしか『悪魔の下回り(下廻り?)』だったかな。そんなワケで、自分が小林信彦から受けた影響は、非常に強い。


 彼は、当時の人気作家の文体を真似て、パクリでは? いや、パロディです。…みたいな遊びを随所に挿入することでも知られている。ハードボイルドな展開では『大藪春彦』の文体を使い、キザに決めたい時は『片岡義男』の文体をパクる、いや、真似る。

 一つの作品の中で、複数の文体を使い分ける。こんな作家は、そうそういない。文豪による『文章読本』なんかを読むよりも、小林信彦の本を読んだ方が、ブログを書くに当たって参考になる部分は多いと思います。興味が湧いたら読んでみてください。面白いですよ。近年の作品では『ノスタルジック』な要素が多くて、ちょっと枯れ始めてる気もするけど。


 2番目に影響を受けたのは、テレビ番組のレポーター、もしくはエッセイストとしての『伊丹十三』です。が、それは別の機会に。自分の中で、書こう…という機運が高まったら書きます(書かないかも)。


 プログラミングよりも、写真よりも、今は文章を書きたい欲求が爆発している。たまには、こういう時期もあるかな。学生たちは夏休みだし、ね。。。