月と太陽の黄経差
カテゴリ:月・朔弦望
前回 Inkscape で作った図形を使って、その図形の検証を兼ねて説明してみる。今回は、太陽の動きを除外して単純化した『月と太陽の黄経差』を見てみる。
朔(新月):
朔(新月)とは、月と太陽の黄経差が 0度になった瞬間であり、朔の瞬間を含む日を朔日(旧暦の一日[ついたち])という。この図形では月と太陽を重ねたイメージ(つまり日食のイメージ)で表現しているが、これは『日食は朔日に起こる』ことを示している。もちろん、朔日に毎回日食が起こるわけではないし、朔の瞬間が日本時間の正午になるとは限らない。
この図から分かることは、新月は昼間の青空のどこかに紛れているので、地上から見ることは出来ない、つまり新月が真夜中の空に浮かぶことは絶対に無い…ということ。
上弦(半月):
上弦(半月)は、月と太陽の黄経差が 90度になった時に見える。月齢は平均 7.5 ぐらい。黄経差が 90度というのは、太陽が沈んだ時刻に南中することを意味する。日没の頃、南に半月が見えていれば、その月は上弦(頃)の月ってことになる。
望(満月):
望(満月)は、月と太陽の黄経差が 180度になった時に見える。月齢は平均 15 ぐらい。黄経差が 180度というのは、真夜中に南中することを意味する。満月は日没の頃に、太陽と入れ替わるように東から昇ってくる。月食が起こるのも満月の日と決まっている。
下弦(半月):
下弦(半月)は、月と太陽の黄経差が 270度になった時に見える。月齢は平均 22.5 ぐらい。黄経差が 270度というのは、月の出は深夜 0時頃で、日の出頃に南中する。下弦の月は、人が寝静まった後でひっそり昇り、南中後は太陽の光に紛れてしまい昼頃には沈んでしまう。なので、めったに見ることはできない。
ちなみに『モーニング・ムーン』というのは、下弦の頃の月だ。上弦の月が出るのは昼過ぎだし、月齢 3~7 ぐらいの上弦前の月は黄経差が小さく太陽と近い位置なので午前中はまず見れない。なので午前中に見える半月は、下弦(頃)の月と見て間違いない。
自分が見た限りでは、前回に作った朔望月早見盤に変な矛盾は無いと思った。次回は、二十四節気(太陽黄経)と月の関係について書きながら、朔望月早見盤の使い方についても、Inkscape の操作方法も交えて説明する予定。