星図ソフトを見ながら星を探す
地球の車窓から(12)
巷には、星座や星空を表示する天文系アプリがたくさんある。でも、その画面を見てから実際の星空を見ても、どれがソレなのかサッパリ分からない… という人も少なくないと思う。
その原因は『画面表示の星空(広角レンズで覗いた世界)』と『人間の視野で見る星空』の視野角が一致していないため。これは何となく理解できると思う。だからほとんどの人は、アプリを見て、ああ綺麗だな… で終わってしまう。
でも、よく見ると天文系アプリには『星を探すヒント』となるオプションが色々と含まれている。
黄道線は特に重要
今どきの夜空(南):
これは mitaka というフリーソフトで『星座線』を引いて表示したもの。今どきの星の見ごろは深夜以降となっている。20時ごろの南の空(窓を開けただけですぐに見える空)には目立つ星がほとんどない。
この図には、
おうし座(アルデバラン・すばる)、
オリオン座、
ふたご座(ポルックス・カストル)、
冬の大三角(ベテルギウス・プロキオン・シリウス)
…が表示されている。冬の星座が見ごろを迎えつつある。
ところで、黄道12星座で星座線の元になる星は意外と暗いものが多い。昔の人は、明るい星だけ線で結んでいた訳ではなく、暗い星々を『淡い色』とか『遠くの絵』…というように表現していたフシが感じられる。星座には立体感も表現されているようだ。
しかし実際のところ、都内の濁った空では『淡い星座』は認識できない。1等星、2等星だけポツリポツリと見えるだけだ。なので、星座線を頼りに星を探すのは、まず無理だ。
黄道線を頼りに星を探す:
mitaka には『黄道線』『赤道座標線』『地表座標線』などを表示するオプションがある。この図では『黄道線』と『地表座標線』を表示してみた。
このウィンドウには『ポルックス』『カストル』『カペラ』が表示されている。どれも 1,2等星の非常に明るい星だが、普通に空を見ただけでは、これらの星を見つけることは出来ない。そこで『黄道線』に注目する。
ご存知のとおり、黄道とは太陽の通り道だが、真夜中の空に黄道をイメージするのは難しいと思っている人も多いと思う。そこで提案するのが…
黄道線を面の境界線と捉える:
どのように捉えるかというと…
このように、
黄道線の下:普通に見上げて見える範囲
黄道線の上:真上を見上げてやっと見える範囲
(南向きの空)
…黄道線を『見える範囲の境界線』と捉えるのです。これなら黄道のラインを意識しなくても、だいたいの星の位置が掴めるでしょ。高度や方位の数値で覚えようとするのではなく、星図ソフトの画面を『見た目感覚』に変換する術を習得する。『体で覚える』…これが大切。
それじゃ、深夜2時のカペラの位置を改めて確認しよう。カペラは黄道線の上にある。つまり、首が痛くなるほど真上を見上げてみる。真上を見上げて一番明るいのがカペラだ(木星を除いて)。ほら、見えたでしょ。つまり、黄道線の上側…というのは、仰向けに寝転んだ時に見える星空なのさっ。
備考:
ただし、上記が当てはまるのは、日本やヨーロッパ等の北半球に限る。赤道直下では、黄道は天頂を通過するので、黄道12星座も真上にある。